浪合村にはこの石碑がたくさんあります。
馬頭観世音は「ばとうかんぜおん」と読みます。
「ばとうかんのん」と呼ばれることが多いです。
これは、馬のお墓、と考えてよいと思います。
昔は馬は家族同様だったんですね。田畑を耕し、輸送に力をかしてくれた馬。
あるお年寄りの方が、「馬は家族よりも大事にされとった。
(家で)一番日当たりのいいとこにおったもんな」
とおっしゃっていたのが印象的です。
浪合はまた宿場でもあったので、旅の途中の馬がここで息絶えたことも
あったかもしれません。
牛頭観世音、という石碑もあります。
馬頭観世音の石碑に次いで多いのが、「三界萬霊」(さんかいばんれい)の碑です。
ここにいう「三界」とは過去、現在、未来を示すそうです。
萬霊は読んで字のごとく、生きとし生けるもの全ての霊のこと。
一切の存在に対し恭しくする態度は、私はとても日本的でいいなあと思いました。
浪合にお越しの際は、道の傍らにたたずむたくさんの石碑もぜひ、ごらんになってください。もろい
花崗岩(主に長石、
石英、雲母で構成されている、あのごま塩がかかったような石)できている石碑が多いので文字が不鮮明なものもたくさんありますが、
その石も、浪合の石。石碑は、自然と文化の、つまり民俗のタイムカプセルみたいです。
くずてつ